シヴァ
ヒンドゥー教でブラフマー、ヴィシュヌとともに最高神として信仰されるシヴァ神。吉祥という意味で、破壊と再生を司る神です。シヴァは古代インドの聖典のひとつである「リグ・ヴェーダ」に登場する暴風神ルドラの前身とされています。
ルドラは豪雨、大風、雷電によって家を破壊し、人間や家畜を殺す恐ろしい神ですが、反面、病を癒す治癒神としての性格を持っています。シヴァはこの恐怖と恩恵という二面的性格をルドラから受け継ぎました。
シヴァはときにバイラヴァ(恐怖すべきもの)であり、ムンダマーラー(ドクロの首飾りをするものもの)であり、その容姿は恐怖を与えますが、対照的に同じシヴァの変身であるシャンカラ(幸福を与える者)は、シヴァの持つやさしい一面を表しています。
シヴァは現代の宗教画ではふつう青白い裸体で虎の皮の上に座り、首に数珠と蛇を巻きつけた姿に描かれます。髪は荒々しく束ねられ、手には三叉戟(さんさげき)と小さな太鼓を持っています。これは遊行する修行者のスタイルで、シヴァが苦行者たちの神であることを示しています。
シヴァの特徴である額の第三の眼は、神話では妻のパールヴァティーの目隠しのいたずらから生じたことになっています。シヴァの乗り物である聖牛ナンディンも描かれています。
■サイズ(縦×横):外寸335×250mm(絵300×220)
■生産国:ネパール
※タンカのみの販売です。額はついていません。
<タンカの製作者について>
このタンカの製作者はヴィジェイラマ(Vijay Lama)さん。1974年にチベットで生まれる。
ラマとはチベットの僧侶のことです。幼い頃に家族とともに亡命、ダライ・ラマ14世をいただく、
チベット亡命政府のある、インド北部ダラムサラで育ち、16歳からダラムサラで伝統的なタンカ画法を学び、
その後ネパールに行き仏画師となりました。
繊細な技術、独特な色使い、洗練された伝統を継承したチベット人仏画師です。
※このタンカは彩雲がヴィジェイラマさんに依頼し、新しく製作したオリジナルのタンカです。
如来や菩薩を描いた仏画はチベットネパールの伝統美術で『タンカ(Thanka)』と呼ばれます。
熟練したタンカ絵師が長い時間をかけて丁寧に描いています。
絵具は鉱物性顔料(※1)と合成顔料のポスターカラーを使っています。
また金の発色は24金から作られた金泥(※2)が使われています。
※1鉱物性顔料―天然鉱石を砕いて作られた絵具。
天然ものなので他の色味をもつ鉱物が若干混ざっており、そのため独特な色合いと深みを持っています。
日本では日本画の画材「岩絵の具」と呼ばれ、古くは古墳時代の遺跡にも見られます。
代表的な色と鉱石は、青−琉璃(ラピスラズリ)、緑−孔雀石(マラカイト)、赤−辰砂(シンナバー)など。
※2金泥(きんでい)―純金の粉を膠(にかわ)の液で泥のように溶かしたもの
タンカの価格は、緻密さや全体のバランスなど絵師の熟練度によっても決まりますが、
一般的に、高価なタンカはより多くの鉱物性顔料と、24金から作られた金泥が使われています。